安全・核不拡散・核セキュリティの追究

キーワード:核不拡散、核テロ対策、非破壊測定、核のゴミ活用、環境動態、数値解析



「核のゴミ」を燃料として活用する原子炉の設計研究
先進的高速炉の概念設計

長期に渡り放射能を持ち続ける長寿命放射性物質はそのままでは「核のゴミ」ですが、

注意深く選別・再利用すれば実はとても優れた燃料としての特徴を持っています。

核のゴミを最小化し調和のとれた原子力エネルギーを目指し、原子炉の設計研究をしています。



自然災害・核テロ・核拡散脅威に堅牢な原子力システム研究
原子力災害は、自然災害やミスだけでなく、テロリスト等による人為的行為によっても起こり得ます。

また、テロリストや国家が「核爆発装置」を造るために核物質を盗み、製造・使用することも重大な脅威です。

未然防止に加え、例え事象が起こっても重大な進展を防ぐ原子力システム研究を行っています。



事故耐性燃料研究

左図は第4世代原子炉である高温ガス炉や、

固有の安全性を大幅に強化した軽水炉などへの使用が研究されている多重被覆粒子燃料。

酸化ウランや酸化プルトニウムなどの核燃料を3~4層の炭化物セラミックスで被覆した直径1mm以下の微小粒子燃料です。

高い耐熱性、高い機械的強度、化学的不活性などの特徴により高い核分裂生成物閉じ込め機能を有するため、3Sの同時達成が期待されます。


放射性物質拡散挙動解析

左図は日本原子力研究開発機構が開発した世界版緊急時環境線量情報予測システム第2版を用いて、

2011年3月の事故時に放出された放射性物質が日本全体にどのように広がっていくかを示しています。

解析結果は原子力発電所で事故が発生し放射性物質が放出されるような事態に陥った場合に、

避難計画の策定などに用いて事故発生時の人的被害の最小限化に役立ちます。(韓特任准教授)



AUTODYNによる衝撃解析

左図は衝撃解析ソフトウェアであるANSYS AUTODYNを用いた解析の様子を表しています。

このようなソフトウェアを用いることで、原子力発電所のコンクリート壁に衝撃波が加わった場合の変形や破壊現象を見ることが出来、

原子力システムにおける安全性やセキュリティ性評価へ利用されています。


核不拡散への科学 -技術の追求-福島第一原発廃止措置への適用
福島第一原子力発電所1、2、3号機の迅速で安全な廃炉のために、

溶け落ちた燃料に含まれるウラン、プルトニウムの重量を放射線を使って測定する非破壊測定装置の研究を行っています。

この簡便な測定装置により、燃料取出しと運びだし時の臨界安全、核不拡散担保に役立ち、一刻も早い廃炉作業に貢献します。



取り出し溶融燃料の保障措置技術開発

ガンマ線と呼ばれる放射線を利用した収納管中の溶融燃料の核物質量測定手法の概念図です。

燃料デブリはウランやプルトニウムなどの核物質を含むため、

保障措置の観点から正しく計量管理される必要があります。

しかし、収納管内の核物質の組成や状態が不明である中での核物質量測定の確立は挑戦的な問題です。